金沢大学附属病院 リウマチ・膠原病内科

トピックス

 SSにおける腎結石・石灰化に関する検討の報告について

藤澤雄平医師がSSにおける腎結石・石灰化に関する検討について、Modern Rheumatologyに報告しました。    

Nephrolithiasis and/or nephrocalcinosis is signifcantly related to renal dysfunction in patients with primary Sjogren’s syndrome 

Yuhei Fujisawa, Ichiro Mizushima, Yasunori Suzuki, and Mitsuhiro Kawano. 

 Mod Rheumatol. 2023 Feb 21:road023. doi: 10.1093/mr/road023. Online ahead of print.PMID: 36823314

 

 原発性シェーグレン症候群(Primary Sjogren syndrome; pSS)の重要な腺外病変の一つに腎病変が挙げられ、主な腎病変として、尿細管間質性腎炎、遠位尿細管性アシドーシス、糸球体腎炎などが知られています。遠位尿細管アシドーシスは、AG正常の代謝性アシドーシスや低カリウム血症、腎結石・石灰化の検査所見が特徴的ですが、pSSにおける腎結石・石灰化の頻度や、それらが臨床像に与える影響についてはよくわかっておらず、腎結石・石灰化を認める群・認めない群での比較検討を行いました。腹部CTもしくはecho検査を施行した68名の抗SS-A抗体陽性pSSのうち、23名(33%)に腎結石・石灰化が確認されました。画像検査施行時における腎結石・石灰化あり群では、なし群よりも腎機能低下が高頻度に認められました。また、抗SSA抗体陽性pSSにおいて腎機能低下に関連する因子を探索したところ、AG正常の代謝性アシドーシスを示唆するNa-Clギャップの狭小化、尿中β2MGの上昇に加え、腎結石・石灰化の存在が有意な因子として抽出されました。これらの因子が、NSAID使用や糖尿病、高血圧など他の要因よりもpSS患者における腎機能障害に大きな影響を与える可能性が示唆されました。