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IgG4関連疾患における生命予後とその関連因子について
川原寛之医師が、IgG4関連疾患における生命予後とその関連因子についてModern Rheumatologyに報告しました。
Clues to mortality trends and their related factors in IgG4-related disease: A Japanese single-center retrospective study
Kawahara H, Mizushima I, Tsuge S, Shin S, Yoshinobu T, Hoshiba R, Nishioka R, Zoshima T, Hara S, Ito K, Kawano M.
Mod Rheumatol. 2022 Oct 27:roac132. doi: 10.1093/mr/roac132. Epub ahead of print.
IgG4関連疾患は膵臓や涙腺、 唾液腺、 腎臓、 大動脈周囲炎など全身の様々な臓器に影響を及ぼすことが知られています。 一般に治療反応性が良いことが知られていますが、 適切な治療が行われないと臓器障害が残存する場合があり、 また本疾患の生命予後についてはほとんど報告がないのが現状です。 今回我々は、 IgG4関連疾患における生命予後やその関連因子について検証する目的で、 2014年1月から2020年12月にかけて金沢大学附属病院リウマチ・膠原病内科を受診したIgG4関連疾患の患者179例の臨床情報を後方視的に検討しました。 この結果、 観察期間中(中央値47か月)に10例の患者さんの死亡が観測されましたが、 年齢および性別を調整した本邦の一般人口における死亡率と比較して同等の死亡率であることが明らかになりました。 これはIgG4関連疾患に罹患したとしても、 適切に治療することにより一般人口と同程度の生命予後を達成できる可能性があることを示唆しています。 更にIgG4関連疾患において①罹患臓器数が多いこと (hazard ratio [HR] 1.45, 95% confidence interval [CI] 1.02-2.05)、 ②診断時のeGFRが45 mL/min/1.73m2を下回ること (vs. ≥45, HR 8.48, 95% CI 2.42-29.79)、 更に③観察期間中に悪性腫瘍を合併すること (HR 5.85, 95% CI 1.62-21.15)の3項目が有意に生命予後に関連することが明らかになりました。 本研究は、 単施設での後方視的な検討であり、 症例数が限られているという制約があるものの、 前述の関連因子の早期発見や適切な治療によって、 より良好な生命予後を達成できる可能性を示唆しています。