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IgG4関連涙腺炎/唾液腺炎における涙腺または大唾液腺の2セット以上の罹患と、多臓器病変による全身の高疾患活動性との関連
髙橋特任助教が、IgG4関連涙腺炎/唾液腺炎における涙腺または大唾液腺の2セット以上の罹患と、多臓器病変による全身の高疾患活動性とが関連することをModern Rheumatologyに報告しました。
Involvement of two or more sets of lacrimal glands and/or major salivary glands is related to greater systemic disease activity due to multi-organ involvement in IgG4-related dacryoadenitis/sialadenitis
Takahashi Y, Mizushima I, Konishi M, Kawahara H, Sanada H, Suzuki K, Takeji A, Hara S, Ito K, Fujii H, Kawano M.
Mod Rheumatol. 2021 Feb 11:1-10. doi: 10.1080/14397595.2021.1878623. Epub ahead of print.
Mikulicz’s病とも言われるIgG4関連涙腺炎/唾液腺炎(IgG4-dacryoadenitis and/or sialadenitis: IgG4-DS)は、IgG4関連疾患(IgG4-related disease: IgG4-RD)における主要な臓器症状の1つであり、2セット以上の涙腺/大唾液腺の罹患が特徴となります。しかし実臨床では、片側性の涙腺もしくは大唾液腺のみ罹患するIgG4-DSに出会うことも稀ではありません。今回我々は、2セット以上の涙腺/大唾液腺の罹患の頻度と臨床的特徴に与える影響について明らかにすることを目的として本研究を行いました。
金沢大学附属病院のIgG4-DSと診断された97名の患者(年齢:中央値65歳、男性:60名、診断時の血清IgG4値:中央値548 mg/dL)で、2セット以上の涙腺/大唾液腺罹患の頻度は45%(44名)、片側性罹患は19%(18名)と判明しました。また、2セット以上の罹患の有無で臨床的特徴に差があるか群間比較した所、2セット以上の罹患を持つ症例は、より多くの臓器が罹患し、IgG4-RDの疾患活動性の指標の一つと示唆されている補体価の低値も認めており、全身的な疾患活動性が高いことが示されました。一方で、他臓器病変のない涙腺/大唾液腺病変のみの症例(33名)における2セット以上の罹患を持つ症例は、2セット未満の症例と比較して臨床的差異は認めませんでした。本研究は単施設コホートの後方視的検討で、症例数も少ないという制約があるものの、IgG4-DS患者の診療において、涙腺/大唾液腺の病変パターンにより、全身臓器病変の検索が必要なサブグループを抽出できる可能性が示唆されました。