金沢大学附属病院 リウマチ・膠原病内科

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関節リウマチ(RA)患者に於けるクレアチニンおよびシスタチンCに基づく推算糸球体ろ過量の乖離に寄与する因子について 

石川県立中央病院 腎臓内科・リウマチ科 中島診療部長が関節リウマチ(RA)患者に於けるクレアチニンおよびシスタチンCに基づく推算糸球体ろ過量の乖離に寄与する因子について、Scientific Reportsに報告しました。 

Factors contributing to discrepant estimated glomerular filtration values measured by creatinine and cystatin C in patients with rheumatoid arthritis.  

Nakashima A, Horita S, Matsunaga T, Inoue R, Zoshima T, Mizushima I, Hara S, Ito K, Fujii H, Nomura H, Kawano M. 

 Sci Rep 11, 9884 (2021). https://doi.org/10.1038/s41598-021-89303-3

 関節リウマチ患者に於いては、合併症や薬剤など様々な因子により腎機能が影響を受け、またその腎機能によって薬剤の投与量(特にメソトレキセート)を変更する必要があるとされています。従来は腎機能の評価に血清クレアチニンを使用した推算糸球体濾過率(eGFR-Cr)が使用されていました。しかしながら、eGFR-Crは筋肉量などで影響を受けることが指摘されており、筋肉量で影響を受けないCys-Cを使用したeGFR-CysCが適当であるとされています。どのような関節リウマチ患者でeGFR-CrとeGFR-CysCが乖離を示すかを明らかにするために、今回の研究を行いました。238名の関節リウマチ患者(女性190例、平均年齢65.3±14.0歳、罹病期間12.0±11.0年)で血清クレアチニン、血清のシスタチンCを測定し、eGFR-CrとeGFR-CysCを算出して検討を行いました。eGFR-Cr/eGFR-CysCが1.2以上となった群(A群、45名)と1.2未満となった群(B群、193名)に分け、両群間で比較検討しました。また、ロジスティック回帰分析を利用した多変量解析でeGFR-Cr/eGFR-CysCが高くなる因子を探索しました。以上の解析からBMI低値、貧血、血中CK低値、NSAIDs使用、糖尿病、Steinbrocker ステージIV(高度な関節破壊)が独立した関連因子であることが明らかになりました。これらの特徴を有する関節リウマチ患者に於いては、シスタチンCを用いた慎重な腎機能評価が必要であるとの結論を得ることができました。論文はオープンアクセスになっていますので、興味のある方は以下のリンクにアクセス頂き、是非、一読頂けたらと思います。

https://rdcu.be/ckjmp