金沢大学附属病院 リウマチ・膠原病内科

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IgG4関連間質性腎炎における3次リンパ組織の病態形成への関与が示唆される症例 

宮永達人医師が、IgG4関連間質性腎炎における3次リンパ組織の病態形成への関与が示唆される症例を報告しました。 

Tertiary lymphoid tissue in early-stage IgG4-related tubulointerstitial nephritis incidentally detected with a tumor lesion of the ureteropelvic junction: a case report 

Tatsuhito Miyanaga, Keishi Mizuguchi, Satoshi Hara, Takeshi Zoshima, Dai Inoue, Ryo Nishioka, Ichiro Mizushima, Kiyoaki Ito, Hiroshi Fuji, Kazunori Yamada, Yuki Sato, Motoko Yanagita, Mitsuhiro Kawano. 

 BMC Nephrol. 2021 Jan 19;22(1):34. doi: 10.1186/s12882-021-02240-1.

 IgG4関連腎臓病は腎機能障害を起こし腎不全へ移行しうる疾患です。IgG4関連疾患において、頭頸部病変では異所性の胚中心形成が病態形成に寄与していると考えられていますが、IgG4関連腎臓病では胚中心を伴う3次リンパ組織(TLT)を認めたとする報告例はほとんどありません。

 本症例では、腎被膜下や中型血管周囲に著明なリンパ球浸潤を認めるもののStoriform fibrosisは認めずIgG4間質性腎炎の初期像を見ていると考えられました。加えて、B、Tリンパ球が集簇してTLTを形成しており、その分布とTLT周囲のIgG4陽性リンパ球の存在からTLTがIgG4関連間質性腎炎の初期病態形成に関与している可能性が示唆されました。本症例は、今後のIgG4関連間質性腎炎の病態形成の解明につながる可能性のある症例と考え、BMC nephrology誌へ報告しました。