金沢大学附属病院 リウマチ・膠原病内科

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 Rosai-Dorfman病の症例報告について

吉田美咲医師がRosai-Dorfman病の症例報告について、Frontiers in oncologyに報告しました。    

Case report: Rosai-Dorfman disease with rare extranodal lesions in the pelvis, heart, liver and skin 

Misaki Yoshida, Takeshi Zoshima, Satoshi Hara, Yoshinori Takahashi, Ryo Nishioka, Kiyoaki Ito,

Ichiro Mizuhima, Dai Inoue, Satoko Nakada and Mitsuhiro Kawano.

(Front. Oncol. 2023;12:1083500. doi: 10.3389/fonc.2022.1083500.) 

 私たちは骨盤、心臓、肝臓、および皮膚と複数の節外病変を認めたRosai-Dorfman 病 (RDD) の症例を経験しました。

RDDは非ランゲルハンス細胞組織球症のひとつで若年者に頚部リンパ節腫脹を伴うことが一般的ですが、全身に節外病変を認めることがあります。 節外病変は皮膚病変が最も一般的で、骨盤内、心臓、肝臓の節外病変は稀です。

74歳の女性が頸部リンパ節腫脹を伴わない数ヶ月間の発熱と持続的な炎症反応陽性を認め通院していました。FDG-PET検査では、左頬、頸部・腋窩・鼠径リンパ節、心房周囲、骨盤内に異常集積を認め、造影CTで肝腫瘤も指摘されました。皮膚と骨盤生検でCD68とs-100 protein陽性の組織球浸潤とemperipolesisを認め RDD と診断されました。プレドニゾロン加療で炎症反応陰性化と解熱を得られ経過は良好です。

両側頸部リンパ節腫脹を伴わない高齢の症例ですが、FDG-PETによる病変部位の指摘から適切な生検部位が選択され、病理検査により診断が得られました。この症例は、RDDにおいて、非典型的な分布で稀な節外病変が認められる可能性があることを示しました。診断の遅れを防ぐために、このような非典型的な節外病変においても鑑別疾患の一つにRDDを想起することが重要と思われます。