金沢大学附属病院 リウマチ・膠原病内科

先輩からのメッセージ

自治医科大学地域医療学センター センター長
総合診療部門教授/附属病院総合診療内科科長
松村正巳

 私は自治医科大学卒業後、地域医療に携わる中、リウマチ・膠原病内科の前身である旧第2内科 第3研究室に入局させていただきました。当時は腎臓病の診療と研究が主でしたが、当時から腎疾患に加えループス腎炎など自己免疫性疾患も診療対象になっていました。研究では週1回のペースでしたが、慢性腎不全の病態、腎性貧血の研究をさせていただきました。夜遅くまでシニアの先生から実験の指導を受けたのも楽しい思い出です。2006年からは特任助手として採用され、2009年から医学教育研究センターが主務になった後も診療は継続させていただきました。病棟回診も担当させていただき随分と勉強になった記憶があります。

 どの分野でも問診と身体診察から診断を考えるのが基本です。正しい診断の先に正確な治療方針がたちます。リウマチ・膠原病の問診においては、症状と所見が多彩なことが稀でなくとても興味深く思います。血管炎が一つの例でしょう。一人の患者さんに発熱、結膜炎、聴力低下、四肢のしびれ(多発性単神経炎)を認めることがあります。また、身体診察においてもコモンなヘバーデン(Heberden)結節から機械工の手(mechanic’s hand)など興味深い所見が観察され、これらをしっかりと見いだすことで診断が一気に進むことをしばしば経験します。検査においては診断に役立つマーカーが多数明らかになっており、どれを選択するか実力が試されます。さらに、リウマチ・膠原病内科の主たる研究テーマであるIgG4関連疾患など、新たな疾患概念も見いだされ、総合診療に移った私にとりましても大変興味深く、学ぶところが多々あります。

 われわれ医師の診療における主な役割は、診断し治療することです。さらにその過程で患者さんの話しを聴き、理解し、その方を癒やすこともとても大切です。リウマチ・膠原病の患者さんは慢性経過の方が多く、これはとても大切なことだと感じます。他者を理解し、精神的な繋がりを意識することが必要なのでしょう。関心のある方は是非、研究室を訪ねてみて下さい。