金沢大学附属病院 リウマチ・膠原病内科

トピックス

EULAR2019 in Madridに参加して

石川県立中央病院 腎臓内科・リウマチ科
中島昭勝

 2019年6月13日から15日までスペインの首都マドリッドでヨーロッパリウマチ学会(EULAR)が開催されました。今回、発表する機会を得て、石川県立中央病院腎臓内科・リウマチ科から参加することができました。個人的にはEULAR 3回目の発表で、マドリッドでの発表は2回目でした。参加メンバーは私以外に、金沢大学附属病院、リウマチ・膠原病内科の川野充弘科長、水島伊知郎先生、蔵島 乾先生、川原寛之先生、小西正紘先生の総勢、6名でした。蔵島先生は、【ANCA-ASSOCIATED GLOMERULONEPHRITIS WITHOUT CRESCENT FORMATION HAS ATYPICAL CLINICOPATHOLOGICAL FEATURES; A MULTICENTER RETROSPECTIVE STUDY】と
【SEROLOGICAL IMMUNE ABNORMALITIES ASSOCIATE WITH SPECIFIC PATHOLOGICAL ACTIVE LESIONS IN LUPUS NEPHRITIS】の2演題の発表で大活躍でした。小西先生は今回がEULAR初めての発表で、【INVOLVEMENT OF TWO OR MORE SETS OF LACRIMAL GLANDS AND/OR MAJOR SALIVARY GLANDS IS RELATED TO GREATER SYSTEMIC DISEASE ACTIVITY IN IGG4-RELATED DACRYOADENITIS/SIALADENITIS】の発表で頑張っておられました。今回のマドリッドの規模ですが、学会のホームページによると、参加者は14500名、参加国は120ヶ国、4951の抄録が投稿され、採択されたポスター発表は2226、採択された口演は560となっています。
 学会初日の6月13日にポスター発表をしました。
【FACTORS CONTRIBUTING TO DISCREPANT ESTIMATED GLOMERULAR FILTRATION VALUES MEASURED BY CREATININE ANDCYSTATIN C IN PATIENTS WITH RHEUMATOID ARTHRITIS (RA) (関節リウマチ(RA)患者においてクレアチニンおよびシスタチンCに基づく推算糸球体ろ過量の乖離に寄与する因子)】というタイトルです。関節リウマチ患者に於いては、腎機能が影響を受け、またその腎機能によって薬剤の投与量(特にメソトレキセート)を変更する必要があるとされています。従来は血清クレアチンを使用した推算糸球体濾過率(eGFR-Cr)が使用されていました。しかしながら、eGFR-Crは筋肉量などで影響を受けることが指摘されて、筋肉量で影響を受けないCys-Cを使用した(eGFR-CysC)が適当であるとされています。どのような関節リウマチ患者でeGFR-CとeGFR-CysCが乖離を示すかを明らかにするために、今回の研究を行いました。238名の関節リウマチ患者(女性190例、平均年齢65.3±14.0歳、罹病期間12.0±11.0年)で血清クレアチニン、血清のシスタチンCを測定し、eGFR-CとeGFR-CysCを算出して検討を行いました。eGFR-Cr/eGFR-CysCが1.2以上となった群(A群、45名)と1.2未満となった群(B群、193名)に分け、両群間で比較検討しました。ロジスティック回帰分析を利用した多変量解析ででeGFR-Cr/eGFR-CysCが高くなる因子を検討しました。以上の解析から低BMI、低Hb、低CK、NSAID使用、糖尿病、Steinbrocker ステージIVが独立関連因子であることが明らかになり、以上のような関節リウマチ患者に於いてはシスタチンCを用いた慎重な腎機能評価必要であるとの結論を得ることができました。
 今回の私の発表ですが、臨床的な意義を注目されて中外製薬の第20回 欧州リウマチ学会 NEWS FLASH Madrid, Spain, 12-15 June 2019とブリストル・マイヤーズのEULAR記録集に掲載されました。国内、海外の錚々たる顔ぶれの中に私の発表があるのは、非常にうれしく思いました。
 私も、大部ロートルになってしまいましたが、このような学会参加を通じてモチベーションを高め、今後も臨床、学会活動を頑張っていきたいと思っています。

 ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)で発表されました中島 昭勝先生の発表内容が注目され、中外製薬株式会社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社、小野薬品工業株式会社の学会報告に掲載されました。